Yoko Tawada

japanese

 

Hamlet No See

飛べ、飛べ、とんび、飛べ、とんび、飛び、
飛ぶべきか、飛ばないべきか、
To be, それとも or
not to be:
それは問題か、
喰え、と言われても、喰えない、
それが問題、que・stion,
フクシマのマッシュルーム、と書いてある
喰え・たら喰ってあげたい、
召し上がってくれよ、
たべる な、ない、ないん、ないんだ
喰え、喰え、クエスチョン、
食べられるのか、
フクシマのトマト、フクシマのキャベツ、フクシマの大根、
です、と書いてある やおやのマジックペンで
喰え、喰えず、クエスチョン、
that is the question: Whether 安全か危険か
危険だけど健康 いいえ 安全だけと病気にはなる
調べたから安全です、数字でかく安全、目の中の血管の赤信号、ぴかっぴかっ、意識の中にin the mind含まれた苦悩、suffer シェイクスピアが途切れ途切れに聞こえてくる、海の向こうから、汚れた海の向こうから。なぜ海を敵にまわすのか、死を海に垂れ流す、死ぬのは、死なないのは、死、against a sea of troubles, フクシマのTo die: to sleep; No more; and by a sleep to say we end 海の言語が分からない、もう息ができないと言っているのか、それともまだ還元できると言っているのか、海と話をすることができたなら、and the thousand 千代に八千代にこれから苦しむnatural shocks 自然には還元されないショック 耳をすまして、聞き取れる言語だけでも、波の間から集めて、書き留めて、To die, to sleep 眠らないで、喰え、喰え、クエスチョン・オブ、死、死、シェイクスピア。

© 多和田 葉子/Yoko Tawada
Audio production: Haus für Poesie / 2017