Brigitte Oleschinski
german
意味の虐待
あなたはニホン語が話せますか
いいえ話せません
はい話せます
はい話せますけど読めません
はい話せて読めますけど書けません
はい話せて読めて書けますけど聞きとれません
わたしはよい子でした
あなたはよい子でした
わたしたちはよい子でした
それはよい
わたしはわるい子でした
あなたはわるい子でした
わたしたちはわるい子でした
それはわるい
言葉の習得のためには置換し反復しなければならない
わたしはみにくい子でした
あなたはみにくい子でした
わたしたちはみにくい子でした
それはみにくい
わたしは退屈です
あなたは退屈です
わたしたちは退屈です
それは退屈だ
わたしは憎い
あなたは憎い
わたしたちは憎い
それは憎しみだ
わたしは食べる
あなたは食べる
わたしたちは食べる
それはよい食欲だ
わたしは食べない
あなたは食べない
わたしたちは食べない
それはわるい食欲だ
わたしは意味する
あなたは意味する
わたしたちは意味する
それはコトバの伝達だ
わたしはニホン語を使う
あなたはニホン語を使う
わたしたちはニホン語を使う
それはニホン語だ
わたしは意味を剥がしとりたい
あなたは意味を剥がしとりたい
わたしたちは意味を剥がしとりたい
それは意味を剥がしとる欲望だ
わたしはいっそコトバをただの素材におとしめたい
あなたはいっそコトバをただの素材におとしめたい
わたしたちはいっそコトバをただの素材におとしめたい
それはいっそコトバはただの素材だ
わたしは機械的に置換していって現実にはありえない文を作る
あなたは機械的に置換していって現実にはありえない文を作る
わたしたちは機械的に置換していって現実にはありえない文を
作る
それは機械的に置換していって現実にはありえない文を作るん
だ
意味を剥がす
音が残る
それでもわたしたちは意味をさぐる。指をさしだせばそれを吸う新
生児の原始反射
わたしは指をさしだせばそれを吸う新生児の原始反射です
あなたは指をさしだせばそれを吸う新生児の原始反射です
わたしたちは指をさしだせばそれを吸う新生児の原始反射です
新生児のそれは指をさしだせば吸う原始反射だ
わたしは意味が
あなたは意味が
わたしたちは意味が
意味だ、それは
伝達するな
わたしは伝達するな
あなたは伝達するな
わたしたちは伝達するな
それするな、伝達だ
切り裂かれて血まみれの意味はきっとみじめでうれしい
わたしは血まみれの意味はみじめでうれしい
あなたは血まみれの意味はみじめでうれしい
わたしたちは血まみれの意味はみじめでうれしい
血まみれのそれの意味の血まみれのみじめさだ、それうれしい
From: 「のろとさにわ」
ブルース・ノーマン「GOOD B O Y B A D B O Y 」から引用参照箇所あり
東京: 平凡社, 1991 年
Audio production: 2008 Literaturwerkstatt Berlin
[krümmten wir uns jeden morgen in unser schweigen]
krümmten wir uns jeden morgen in unser schweigen
erinnere mich nicht weder der zerbrochenen
krüge noch geschlossener fenster
kamen wir uns näher
in unserem kreis
aus verstecktem stottern
*
letzter tag
fragte mich nach welchem sinn
sinn vielleicht nur das bild
von zwei-frauen wie eine
in ewigkeit
*
erinnere mich an die paar poster
auf weißen tapeten im zimmer
erinnere mich nicht ob die vasen im haus
mit henkeln
oder ein schlüssel in der schreibtischlade
*
rückfahrt zu anfang
ahnte ich nichts von zwei-frauen wie
eine sahen mich an
auf dem nordbahnhof
ahnte nicht ich sähe sie
durch die fenster im abteil
fuhr bloß davon zur nächsten station
*
saß so lange im abteil
das draußen fing mein gesicht im fenster
die campingzelte in der frühlingskälte
cafés auf den bürgersteigen
männer
und häuser an den gleisen
*
rimbaud das gleiche poster auch da
wo ich als schatten durch die straßen ging
keine zeit uns zueigen
die orte wie nicht
mein nirgendwo spiegelnd in den zwei
frauen am bahnhof zwei frauen wie
eine zwei-frauen
schauten mich an
durchs fenster des zugs